大和・山田の土へ還す。Beccaficoが直面する現実と、再生への一歩。
大阪・藤井寺のレストラン『Beccafico(ベッカフィーコ)』。
私たちの料理の根幹を支えるのは、奈良県桜井市山田にある菜園です。
先日の定休日、私は厨房のコンポスト(有機堆肥)を抱え、山田の菜園へと向かいました。
山手の豊かな自然に囲まれたこの美しい菜園は、いま大きな試練の真っただ中にあります。土の上には、猪の大きな蹄(ひづめ)の跡が深く残されています。
昨年から深刻な「獣害」に見舞われ、両親が大切に育ててきた畑の約半分が荒らされ、手つかずの状態となってしまいました。自然の恵みをいただくということは、時にその厳しさとも対峙するということです。しかし、私たちはここで諦めるのではなく、この場所を「再生」させていくことを決意しました。
▫️ 厨房から始まる、堆肥化へ。
お弁当やコースの仕込みで出る食材の命を余すことなく使い切る工夫(骨や端材からスープ・ソースを引く技術など)により、食品ロスの削減を徹底しています。
それでもどうしても残る野菜の端材などの生ゴミは、すべて厨房内で「コンポスト(堆肥)化」を進めています。
藤井寺から、奈良・山田の荒れた土へこうしてレストランで作られた良質なコンポストを、シェフ自らが定期的に山田へと運び、猪に荒らされた手つかずの土へと混ぜ込みます。
草を刈り、傷ついた土をもう一度耕し直しました。
藤井寺のお客様がもたらしてくださったエネルギーが、形を変えて、山田の土壌をふかふかの生命力あふれる大地へと再生させていくのです。
自然と共生する、本当の「テロワール」へ害獣をただ排除するのではなく、自然の厳しさを受け入れながら、人間の手で土の生命力を底上げしていく。
この循環によって蘇った畑から、今朝も瑞々しい夏野菜やハーブが収穫され、藤井寺の厨房へと届きました。
大雨による川の増水など、自然は時に牙を剥きますが、
ただ美味しいだけでなく、この土地の自然に負荷をかけず、むしろ豊かにしていく責任が料理人にはあると考えています。
大和の生命力と河内の恵みを、嘘のない一皿にして皆様をお迎えいたします。
