大和・河内のテノワール。自然の現実と、新しい夏のスペシャリテの誕生
大阪・藤井寺の『Beccafico』。
私たちの料理の根幹は、私の故郷である大和(奈良)の生命力と、いま立つ河内(大阪)の風土をクロスオーバーさせることにあります。
▫️ 厨房と山田の菜園を繋ぐ「資源循環」奈良県桜井市山田にある菜園は、昨年から深刻な猪の獣害に見舞われ、畑の半分が荒れ地となっています。自然の厳しさと対峙しながら、私たちはこの土地の「再生」を進めています。
コースの仕込みで徹底的に食品ロスを削減した後に残る生ゴミは、すべて厨房内でコンポスト(有機堆肥)化。
定休日に山田の畑へと運び、土へと混ぜ込みます。
藤井寺のお客様がもたらしてくださったエネルギーが、傷ついた山田の土を蘇らせ、そこで育った無農薬野菜やハーブが、再び藤井寺のテーブルへと還ってくる。これが私たちの循環です。
▫️ 大雨の逆境から生まれた「美陵鰻のパイ包み焼き」ローカルガストロノミーにおいて、メニューは天候によって臨機応変に移り変わります。先日の大雨による川の増水で東吉野の天然鮎の仕入れが困難となったその日、Beccaficoの新しい夏のスペシャリテが誕生しました。
「美陵鰻(みささぎうなぎ)とフォアグラのパイ包み焼き」
藤井寺の最高峰食材である美陵鰻を備長炭で香ばしく炭火焼きにし、フランス料理の古典技法(アンクルート)へ昇華。
ソースは、私の日本料理の師匠(割烹川清)より受け継いだ秘伝のタレと、フレンチの赤ワインソースを融合。
パイの中には、濃厚なフォアグラと共に、大地の香りを繋ぐ「ごぼうの赤ワイン煮のデュクセル」を忍ばせています。
日本料理の引き算と、フランス料理の重ねが交差する、私たちの新しい看板となる一皿です。
▫️ 大和牛のペルシャード ✕ 河内ワインの調和メインディッシュは「大和牛サーロインのペルシャード(香草パン粉焼き)」。
極上サーロインに、実家の菜園から今朝収穫してきたタイムやローズマリーなど4つのハーブを纏わせてサクッと焼き上げました。
赤ワインヴィネガーの酸味を効かせた特製ソースと、ほろ苦いチコリのサラダを添え、上質なサシ(脂)の甘みをどこまでも軽やかに表現しています。
地元・河内ワイン様のトップブランド「金徳葡萄酒」の白(セミヨン)をあえて常温近くで合わせることで、樽熟成のバターのようなコクを肉の脂に同調させ、赤(カベルネ・フラン)のウッディな渋みをハーブの香ばしさとクロスオーバーさせる、温度のペアリングをご提案しております。
▫️ 歌姫に捧げる、ロマンティックな終幕コースを締めくくるのは、パティシエとの合作「ピーチメルバ」。かつてロンドンの料理長が、偉大な歌姫ネリー・メルバに捧げたというロマンティックな伝統を持つクラシックな一皿。先日は、美しくシャンソンを歌われる大切なお客様への日頃の深い感謝の想いを、この伝統的なストーリーに乗せてお届けいたしました。
前菜からデザートに至るまで。
Beccaficoのテーブルに並ぶすべての一皿には、生産者へのリスペクト、自然の現実、そして目の前のお客様へ向けた嘘のない物語が調和しています。皆様の大切な時間に、このテロワールの重なりをぜひ体験しにいらしてください。

